
▲三好記念館展示室(S49~H20)
明治44年、育英慈善事業を目的として設立された蓼沼慈善団は、大正8年、名称を財団法人三好園(さんこうえん)と改称、育英事業を中心にその基盤の充実を図ってまいりました。
この間、特に戦後の日本経済のめざましい発展が、金銭・物質万能の風潮を生み、精神不在の偏向が少しずつ憂慮されるようになっていったのは言うまでもありません。そして、物質的な豊かさと相俟って精神的な豊かさが求められていた時代でもありました。その背景にあり、地域文化向上の拠点となるような美術館や博物館が近隣に整備されることは非常に意義あることではないか、まさに必要とされているのではないか、と考え、当園は、美術工芸品の展示を通じて、静かな環境の中で古き時代の良さを知り、忙しい日常にあって心を癒すサロンとして地域文化の発展に貢献することを目的に、四代理事長が、昭和49年、考古館「三好記念館」を設立しました。栃木県南地区においては、私立考古館として博物館登録も受けた第一号でありました。
考古館では、限られたスペースの中で、収蔵する陶磁器の中から主軸の伊万里等を中心に常設展示を心掛け、展示替えや年末年始以外はいつでも鑑賞していただけるよう開館することで、県内外より当園の美術品に関心をもった方々が個人や団体で多数来館されました。
また、県内各地の愛好家から社団法人日本陶磁協会とちぎ県南支部事務局の兼務も要望され、平成11年~平成19年の間、美術品の由来や文化・歴史を学ぼうと定例勉強会等の研修会を実施して地域文化発展に尽力してまいりました。
このように開館以来、当園考古館は地域第一号の社会文化施設として一定の役割を果たしてきたと自負しておりますが、時代の流れとともに美術館が地域に果たす役割は変化し、人々が考古館に求めるニーズも様変わりしてきました。文化施設としての老朽化も懸念される中、数年前、隣接地一帯を商業地として開発する計画が持ち上がりました。それに応じることは考古館の取り壊しも意味したのですが、検討を重ねた結果、長引く景気低迷にあって、少しでも地域の商工業発展、雇用環境の改善に資することが出来ればと開発計画を受諾し「三好記念館」を取り壊したのです。
従来の考古館に代わる代替施設建設も計画の俎上に上がりましたが、文化施設の運営は財政的に厳しく、旧来の運営手法では行き詰まることになると判断し、当面、外部の施設を利用して展示会を開催し、将来の考古館の在り方を究明して先々に備えていくことにいたしました。
今後も地域文化の灯火を消してしまわぬよう、外部施設での展示や他の考古館への収蔵品の貸し出し等を積極的に行い、形を変えて、より多くの人に当園の美術工芸品を鑑賞していただき、地域文化の振興に貢献していきたいと考えております。

※写真は収蔵品の一部になります。
<過去の蔵品展>
■枠を超えて

■伊万里ふたたび

■日本のやきもの2000年の旅

■陶磁器×草花たち

■陶磁器×生き物たち

■上野記念館 第42回企画展
伊万里開窯400年 「柿右衛門の系譜」の併設展示として、第3展示室に「公益財団法人三好園所蔵作品展」を併陳いたしました。
- ・期間:平成28年10月3日(月)~12月10日(土)
- ・時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
- ・休館日:日曜日・祝日
- ・場所:上野記念館 宇都宮市昭和2-5-8 TEL 028-625-5905
- ・入場料:一般:500円 / 高大学生:200円 / 小中学生以下:無料
■色絵いろいろ

輸出用の色絵磁器から国内向けにつくられた色絵磁器まで、約20点を展示。焼きしまった白磁胎に色鮮やかに描かれた絵画的趣向や、伊万里焼が日進月歩勢いで改新、振興していく様を展示しました。
- ・期間:平成28年3月12日(土)〜27日(日)
- ・場所:足利市立美術館 特別展示室
■とっくり(徳利)

■「藍」に魅せられて

染付磁器は中国から佐賀県有田に広められました。
主に中国・景徳鎮窯の染付と日本の草創期の伊万里焼を中心に展示しました。
- ・期間:平成27年3月14日(土)~29日(日)
- ・場所:足利市立美術館 特別展示室
■青磁、白磁を愉しむ

■『伊万里に魅かれて』

■古陶磁、にほん。

■染付の魅力
